2014年 新年のご挨拶

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。日頃より、草原再生ネットワークの活動にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。

昨年は、日本の草原にまつわる喜ばしい出来事がいくつかありました。5 月には、草原を利用した持続的な農業のシステムが評価され、静岡県の茶草場と阿蘇の草原が「世界農業遺産」に認定されました。草原の草を利用した多彩な農業、美しい景観、希少な草原性動植物、伝統的な農耕文化が国際的に高く評価されました。そのほかにも、阿蘇地域の8 市町村が内閣府に申請していた「草原特区」も採択されました。世界文化遺産登録、世界ジオパークの認定へ向けた動きも活発です。そして本年の秋頃には、阿蘇地域において「第10 回全国草原サミット・シンポジウム」が開催されることが決定しました。

世界に認められた「日本の草原文化」を自らの手で守り、次の世代に受け渡すために官・民が力を結集して、従来の枠組みにとらわれない抜本的な解決策を講じて行くことが大切です。さまざまな制度の活用も視野に入れ、多様な担い手・支え手の拡充や草原の新たな利活用の推進に挑戦しなければなりません。全国草原再生ネットワークの活動も、新しい時代に見合った視点や発想に基づき、一歩先を見据えた価値観の創造、活動が求められています。

人々に守り継がれた豊かな自然資源をどのように管理し利用するかは、日本全体の大きな命題ですが、実際の現場は地域にあります。地域再生のきっかけは、地域の皆さんが関心を共有し、共に関わることです。全国草原再生ネットワークとしても、現場で「草原再生」という目標に向けて活動されている皆さんの自信や誇りになり、全国の草原保全を巡る動きが益々盛り上がるよう、微力ながらも努力と工夫を重ねて行く所存です。

本年も一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(高橋佳孝:全国草原再生ネットワーク会長)

この記事を書いた人
高橋 佳孝

1979年に農林⽔産省に⼊省以来、⼀貫して「⾥⼭草地の永続的維持管理と利⽤に関する研究」に従事。草地の保全管理の問題を、草原⽣態系だけでなく農畜産業や⽂化景観の視点から研究調査し、地域の支援を行っている。全国草原サミットの開催に尽⼒するほか、阿蘇草原再⽣協議会会⻑を務め、官⺠が⼀体となった「阿蘇千年の草原」の保全活動に関わる。退職後再任⽤(専門員)となった今も、全国の半⾃然草原保全のために⾶び回っている。

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全国草原再生ネットワーク
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