2018年 新年のご挨拶

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年末からの寒波の連続で、山上の草原は銀世界に変わり、日常では目にすることのない趣や風情を醸し出しています。四季の移ろいもそれもまた草原の魅力の一つだといえます。

昨年は、ちょうど全国草原サミット開催の前年ということで、さらなる飛躍に向けての足場固めの年と位置づけておりました。しかし、早春に各地で草原火入れに関する事故、とくに火付け役の方の事故が多く発生し、改めて草原を維持することの困難さと地元の担い手不足が危機的状況にあることを再認識させられる事となりました。

このような状況の中、一昨年に発足した「全国草原の里市町村連絡協議会(通称:自治体ネット)」の定時総会が、昨年(平成29 年)の11月29 日(水)に東京の全国町村会館において開催されました。現在、この協議会の加入自治体は23 市町村で、そのうちの10 市町村が総会に出席しました。会長の日高昭彦川南町長の進行のもと、29 年度の事業、予算の中間報告と当面重点化すべき課題を論議しました。

本年5 月12 日~14 日に宮崎県で開催される「第12 回全国草原サミット・シンポジウム」に関しては、本大会への出席を促し、次々回開催地をサミット当日までには決めることを申し合わせました。所用で急遽出席できなくなった太田長八東伊豆町長より、東伊豆町での開催に前向きな意見をいただいたことから、東伊豆町を次々回開催地の第一候補として今後調整を進めていくことになりました。

「草原の里100 選」の制定については、第10 回全国草原サミット・シンポジウム阿蘇大会の「サミット宣言」を受け、平成27 年に阿蘇市長村会より環境大臣宛に要望を行ったところですが、近々、新たに環境省に出向き、同連絡協議会名で再度協力を要請することになりました。また、最近頻発している野焼き(火入れ)事故に関しての情報交換を密にしていくこと、新規加入を促すことなどを決定しました。

言うまでもなく、本年の最大のイベントは間近に迫った「第12 回全国草原サミット・シンポジウムin 串間・川南(宮崎)大会」です。同連絡協議会発足後初めてとなるこのシンポジウムやサミットでは、南九州を舞台にした草原・湿原保全の新しい動き、遺産・文化財としての草原の価値の見直し、豊かな草原環境を生かした地域の魅力づくりなどが紹介され、同協議会の加入市町村を中心に草原を有する自治体が一層連携を深め、貴重な地域資源を後世に引き継ぐために行動することが宣言されるものと思われます。民間と国や市町村とが情報交流を密にし、お互いが手を携え補填し合うという観点からも全国草原サミット・シンポジウムの存在は極めて重要です。串間・川南(宮崎)大会へ向けて、会員の皆様の一層のご理解とご協力が必要となりますが、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(高橋佳孝:全国草原再生ネットワーク会長)

この記事を書いた人
高橋 佳孝

1979年に農林⽔産省に⼊省以来、⼀貫して「⾥⼭草地の永続的維持管理と利⽤に関する研究」に従事。草地の保全管理の問題を、草原⽣態系だけでなく農畜産業や⽂化景観の視点から研究調査し、地域の支援を行っている。全国草原サミットの開催に尽⼒するほか、阿蘇草原再⽣協議会会⻑を務め、官⺠が⼀体となった「阿蘇千年の草原」の保全活動に関わる。退職後再任⽤(専門員)となった今も、全国の半⾃然草原保全のために⾶び回っている。

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