草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

希少種 :きしょうしゅ

(希少種の意味については、下記を参照。)
日本では、近世から現在にかけて、草原の開発や維持管理の放棄が一斉に進行し、このわずか半世紀程度の非常に短い期間の中で、草原の面積が著しく減少した。その結果、草原に生育・生息する草原性動植物種も、その個体数が急激に減少しており、多くが希少種となっている。

環境省HP「環境影響評価情報支援ネットワーク 環境アセスメント用語集」(http://www.env.go.jp/policy/assess/6term/index.html)によれば、存続基盤が脆弱な種または亜種で、1)生活環境が変化すれば、容易に絶滅危惧種、危急種に移行するような要素をもつもの。2)生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっているもの。3)分布域の一部で個体数の減少や、生息環境の悪化などの傾向が強いもの、あるいは今後さらに進行するおそれのあるものなど。

官牧 :かんぼく

中世時代に、軍馬の飼育のために管理されていた官制の草原。天皇の勅命により開発された牧は、勅旨牧と呼ばれる。

灌木 :かんぼく

低木に同じ。一般的に、人の背丈より低い木を指す。

乾草 :かんそう

通常の大気と同等の水分含有量まで乾燥した牧草のこと。

乾生草原 :かんせいそうげん

ススキやカリヤス、チガヤといった植物が生育する草原。日本において、乾生草原とは湿生草原の対義語として、やや乾いた環境を好む植物が生育する草原のことを指すが、世界的にみてその条件は適湿であり、乾いた環境ではない。

環境収容力 :かんきょうしゅうようりょく

ある場所に継続して生育・生息できる生物の量のこと。草地学においては、特に、放牧地における生物量、すなわち放牧地の生産量を把握することで、放牧地においてどの程度の家畜を飼育できるかが研究されてきた。

ガンギ棒 :がんぎぼう

茅葺きの茅を揃えるための道具。ツチの一種。

 :かん

イネ科の茎のこと。茎には節があり、節以外は中空となっている。茅葺きは、その表面に茅の稈の断面が露出しており、これにより水が軒先へ流れやすい構造になっている。

カルスト地形 :かるすと

石灰岩地質の土地において、その水に溶解しやすい特性からできた、特徴的な地形のこと。代表的な地形として、窪地(ドリーネ)や鍾乳洞などがある。日本三大カルストは、秋吉台(山口県)、平尾台(福岡県)、四国カルスト(愛媛県、高知県)で、現在は、そのいずれもが草原として利用されている。

刈敷 :かりしき

畦や入会地の草原などで刈り取った青草を、牛馬や人力で田畑に踏み込み肥料とするもの。

茅葺き :かやぶき

茅を主な材料として葺かれた屋根。広義に草葺きのこと。萱葺きとも。

茅場 :かやば

茅を生産する目的で管理された草原のこと。東京駅近くの茅場町は、かつて茅が生い茂る土地であったとされている。

茅野 :かやの

茅を生産する目的で管理された草原のこと。

茅すぐり :かやすぐり

採取した茅の束から、資材として重要な棹のみを選り分けるために、余分な葉や混ざりこんだ茅以外の植物を取り除き、採取した茅の束に交じる茅以外の植物を除き、茅の長さなどを揃える作業のこと。

茅刈り :かやかり

茅を刈り取り、束にまとめる作業のこと。主として農繁期が終わり、茅が枯れあがる11月~3月ごろに行われる。資材としての収穫であるため、除草を目的とした単純な草刈とは刈り方が異なる。近年では、専用の機械を用いた茅刈りも行われている。

茅壁 :かやかべ

茅でできた壁のこと。

茅垣 :かやがき

茅でできた垣根のこと。

 :かや

古来より屋根材、飼料、肥料などに使われて来たイネ科やカヤツリグサ科に属する草本の総称。ススキ、カリヤス、ヨシの他に、オギ、チガヤ、スゲなど。各地で伝統的な呼び名として、ヤマガヤ、コガヤ、シマガヤなどと呼ばれるが、呼び方は地域によって様々で、種名と一致しない場合も多い。
英語圏では、茅に変わる直接的な英訳はなく、材料に応じてstraw(藁)、water reed(ヨシ)、Sedge(スゲ)などに区別して認識されているようである。

火災予防条例 :かさいよぼうじょうれい

各市町村長が消防法に基づいて、火災予防のために定めている条例。各地方の事情により必要とされるものや自主的に規制すべきもの等を定めている。火入れを行う際は同条例に基づき消防署長への届け出が必要。

攪乱 :かくらん

生態学においては、様々な圧力により、場の環境が荒らされることをいい、このことにより遷移の段階が停滞あるいは後退することがある。日本においてはほとんどの場所で、草原はおのずと森林へと遷移が進行していくため、草原が維持されるには何らかの撹乱要因が必要となる。多くの場合、火入れや草刈りなどの人為的撹乱により維持されている。