草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

原生花園 :げんせいかえん

主に北海道の沿岸部に見られる草原。かつて北海道では沿岸部の野草地や伐採跡地で放牧を行っていたが、家畜が好むイネ科草本などが選択的に採食された結果、家畜があまり好まない植物が高い密度で残り、花畑のような独特の景観を形成するようになった。この景観のことを原生花園と呼び、地元では観光などに活用している。「原生」という名がつくが、上記のような形成過程をもつため、ほとんどの場合、原始的な自然環境ではないといえる。また、撹乱の減少に伴って植物種数が減少している原生花園もある。小清水町にある小清水原生花園では、火入れを行うことで、草原の再生が試みられている。

消し方 :けしかた

火入れ時に、火消し棒などで火を消していく作業をする役割の人のこと。

黒ボク土 :くろぼくど

日本で広く見られる土壌の一つで、黒く、ぼくぼくした感触が特徴の土壌。火山灰を母材とし、草原植生の影響を強く受ける土壌で、過去の植生の復元資料としても価値のある土壌である。例えば、イネ科草本を由来とする植物珪酸体が何層にも含まれていることは、人の営力(火入れ)が長期間に渡って続けられていたことを表している。英語の「Ando」は、暗土(あんど)に由来する。

黒毛和牛 :くろげわぎゅう

肉用牛の品種の一つで、黒毛が特徴である。

グリーンツーリズム :ぐりーんつーりずむ

ツーリズムの項で述べたように、ツーリズムとは特に「体験型の観光」のことを指す言葉と認識されつつあるが、各種団体によってその定義はあいまいなところがあり、決まった規格はない。グリーンツーリズムとは、ツーリムの一つで、特に、農村・農業体験を核とし、滞在型・体験型の旅行のあり方のことをいう。

口開け :くちあけ

採草や山菜採りなどの草地の利用が可能となる日時のこと。草地資源はかつての暮らしにおいて非常に重要であったことから、過度な利用によって草地を荒廃させることがしばしばあった。そこで、共同の土地である草地の利用の制限が、集落単位で厳格に定められていた。現在においても、北信越~東北地方で見られるわらび園では、山菜採りが行える日時を、例えば「口開けの日から、週3日間かつ午前中のみ」などと指定している。

草寄せ :くさよせ

刈った草を寄せ集めてまとめること。また、それに使う道具のこと。道具には、電動草刈機の刃先に付ける草寄せパーツや、熊手(レーキ)などを用いる。

草山 :くさやま

草原が成立している山、または草本資源が利用されている山や丘陵地のこと。

草もみじ :くさもみじ

草が紅葉すること。また色づいた草原の景観。

草葺 :くさぶき

草で葺かれた屋根のこと。

草肥 :くさひ

植物をそのまま田畑にすき混んで肥料とするもの。

草泊まり :くさどまり

ススキなどの草で作った簡易の野営小屋。昔、集落から離れた採草地で何日にも渡って草刈りをする際、集落との往復の手間を省くために使われた。阿蘇地方では、草原を利用してきた文化、歴史を学ぶため、草泊まりを作る体験授業などが行われている。

草スキー :くさすきー

雪上ではなく、芝地の斜面を滑降するスキーのこと。草スキーではグラススキーと呼ばれる専用の道具を用いて滑降する。グラススキーにはエレメントと呼ばれる無限軌道が回転し、草の上でも滑ることが可能となっている。

草小積み :くさこづみ

刈り取った草を、保管を目的として小高く積み上げたもの。主に阿蘇地方の方言。

草玩具 :くさがんぐ

草で作った玩具のこと。冠やバッタ、フクロウなどを模したものや、草笛などがある。

公役 :くえき

公役に労働力を出すこと。

金肥 :きんぴ

お金を出して購入する肥料のこと。

極相 :きょくそう

生態学で、遷移の最終的な段階のこと。生態系の構成が、その場所の地盤条件や気候条件にあわせ平衡状態となっている状態。

休眠打破 :きゅうみんだは

生物の休眠状態が解かれること。草原の保全においては、種子がどのような状況下で休眠するのか、逆に種子の休眠状態を打破するための条件が何かを知ることが重要である。例えば、埋土種子の研究を進めることで、個体数が減少した植物群落再生の可能性を探ることができる。

忌避植物 :きひしょくぶつ

毒や棘などを持つことなどから、牛馬などの哺乳類があまり食べない植物のこと。牧場や哺乳類の密度が多い地域では、これらの植物が増える。