草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

草地 :そうち、くさち

草原が成立している土地の意味で、主として、人が利用している草原のことを指す場合が多い。農地や林地、宅地などの用語に対応する言葉で、土地利用の意味が含まれる。

草地改良 :そうちかいりょう

草原を畜産の利用に適したものとするために、地形改変や施肥、牧草の播種などにより、その生産力を改良すること。

大陸系遺存種 :たいりくけいいぞんしゅ

遺存種の項を参照。

人為的攪乱 :じんいてきかくらん

草刈りや放牧などの人為的な行為によって起こる攪乱。

人工草地 :じんこうそうち

耕起、土壌改良、施肥、牧草の播種などを行い、生産力を高めた草地。主に外来のイネ科牧草が生産される。一般に、外来のイネ科牧草はススキなどの在来草本に比べ生産力が高く、家畜の飼料としても高栄養価であり、冬季も生産が可能な種類もある。一方で、生産力の維持のために、継続的な施肥や草刈りなどが必要である。また、牧草以外の植物はほとんど無く、生物は非常に単調である。

鹿害 :しかがい

鹿が植物の葉や花、芽などを食べることによって起こる被害。近年、森林では林床の植物に被害が頻発しているが、草原においても花や花芽が食べられる被害が各地で顕在化してきている。

自然攪乱 :しぜんかくらん

土砂移動や強風などの自然の営力によって起こる攪乱。

自然再生事業 :しぜんさいせいじぎょう

広義には、失われた自然環境を再生する取り組み、事業の総称。狭義には、自然再生推進法に基づき、多様な主体により構成された「自然再生協議会」上での合意により実施される「自然再生事業」のこと。草原にかかわる自然再生事業も各地で実施されており、阿蘇(熊本県)、樫原湿原(佐賀県)、八幡湿原(広島県)、霧ヶ峰、美ヶ原(長野県)、琵琶湖、伊吹山(滋賀県)などで取り組まれており、保全管理のメニューとして火入れの再開や新規採用が取り入れられている事例も多い。

自然再生推進法 :しぜんさいせいすいしんほう

過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的とした法律。平成15年1月1日より施行。

自然草原 :しぜんそうげん

人為的な攪乱を伴わず、維持される草原。水分条件が悪い、気温が低い、風が強いなどの気象条件により成立する。降雨量の豊富な日本においては、ほとんどの地域で樹木の生育が可能であるため、自然草原は、高山や北海道など限られた地域にのみ分布する。

湿生草原 :しっせいそうげん

ヨシやオギといった植物が生育する草地。

芝山 :しばやま

小規模樹林地除去 :しょうきぼじゅりんちじょきょ

植生 :しょくせい

ある地域を覆っている植物の組み合わせの種類。

植生図 :しょくせいず

植生の面的な分布状況を示した図のこと。日本においては、環境省により1/50,000~1/25,000スケールで、全国植生図の作成が行われている。 http://www.vegetation.biodic.go.jp/

植生遷移 :しょくせいせんい

植生が遷移していくこと。日本においては、草原を維持するために、植生の遷移を停滞もしくは後退させることが必要である。

高層湿原 :こうそうしつげん

ミズゴケが泥炭となり積み重なって盛り上がり、その上に湿地環境が成立している湿原。高山地帯や高緯度地域などの低温環境に多い。地下水による水供給が無いことから、貧栄養な湿原となる。盛り上がった場所にあるという意味で高層湿原と呼ばれ、対して地下水の影響を受けるような湿原は低層湿原や中間湿原と呼ばれる。

原生花園 :げんせいかえん

主に北海道の沿岸部に見られる草原。かつて北海道では沿岸部の野草地や伐採跡地で放牧を行っていたが、家畜が好むイネ科草本などが選択的に採食された結果、家畜があまり好まない植物が高い密度で残り、花畑のような独特の景観を形成するようになった。この景観のことを原生花園と呼び、地元では観光などに活用している。「原生」という名がつくが、上記のような形成過程をもつため、ほとんどの場合、原始的な自然環境ではないといえる。また、撹乱の減少に伴って植物種数が減少している原生花園もある。小清水町にある小清水原生花園では、火入れを行うことで、草原の再生が試みられている。

公益的機能 :こうえきてききのう

土砂災害防止といった国土保全機能の他、水源かん養機能、生物多様性の保全など、人々が暮らしていく中で必要な機能のことを指し、森林や農地、草原が本来持つ生産機能とは別に我々が受ける様々な恩恵のこと。

極相 :きょくそう

生態学で、遷移の最終的な段階のこと。生態系の構成が、その場所の地盤条件や気候条件にあわせ平衡状態となっている状態。