2019年 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。平素より全国草原再生ネットワークの活動にご理解とご協力をいただき,誠にありがとうございます。新しい年号の年を迎えるに当たり,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、5月12日~14日に宮崎県において「第12回全国草原サミット・シンポジウムin 串間・川南」が開催され,全国から延べ900名もの参加者があり,盛大に執り行われました。初めて「湿原の保全」と「野生馬の放牧」という異色テーマを取り上げ,草原サミットの新しい方向性を探る大会となりました。

今回,シンポジウムの第四分科会「保全技術の伝承と安全対策」を当ネットワークが担当しました。

「安全対策」が分科会のテーマになるのは,草原維持で欠かせない「火入れ」での事故が絶えないからです。2009 年に大分県由布市で男女4人が,翌10年には静岡県の自衛隊演習地で3人の方が亡くなられました。その後も各地で火入れ事故が絶えず,一昨年には,山口県の秋吉台(美祢市)と兵庫県の砥峰(神河町),熊本県の南阿蘇村と高森町でそれぞれ1 名の方が亡くなられました。そして昨年は,島根県の三瓶山(大田市)と北九州市の平尾台で延焼による火災が発生しています。

草原火入れはまさに一瞬たりとも気が抜けない作業です。当ネットワークとしても,これまで安全性確保を繰り返し訴えてきました,注意喚起がマンネリ化しないよう,今後は何らかの知恵をしぼり,工夫を凝らさなければならないと実感しています。また,各地の安全管理体制を紹介し,共有するのも当ネットワークの重要な役割でもあります。

第10 回から今回(12 回)の全国草原サミットにおいても,「草原を次の世代に」を合い言葉に,火入れの安全強化や草原維持につながる農林畜産業の振興を掲げました。さらに,幅広く草原の重要性に関心を寄せてもらうため,「草原100 選」の制定を関係機関に働きかけていくことを申し合わせました。この「草原100選」については,現在,関係機関と協議・調整を進め,選定作業に向けての具体的な作業に入っており,近々進捗状況をお知らせできると思います。

本年は,猪年です。たわわに実った果実が種子となり,エネルギーを蓄えて次の世代へと向かう準備をするという意味の年だそうです。サミット開催の中間年ということでもあり,まさに,新たな始まりに向けて新たなエネルギーを蓄える年(準備を行う期間)でもあります。直面する様々な課題の解決に向け,会員の皆様の一層のご理解とご協力が必要となりますが、引き続きご支援を賜りますようお願いを申し上げます。

この記事を書いた人
高橋 佳孝

1979年に農林⽔産省に⼊省以来、⼀貫して「⾥⼭草地の永続的維持管理と利⽤に関する研究」に従事。草地の保全管理の問題を、草原⽣態系だけでなく農畜産業や⽂化景観の視点から研究調査し、地域の支援を行っている。全国草原サミットの開催に尽⼒するほか、阿蘇草原再⽣協議会会⻑を務め、官⺠が⼀体となった「阿蘇千年の草原」の保全活動に関わる。退職後再任⽤(専門員)となった今も、全国の半⾃然草原保全のために⾶び回っている。

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全国草原再生ネットワーク
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