設立の経緯と目的
日本の草原が直面する課題
草原は、火入れや放牧、採草という数百年以上にわたる農畜産業の営みによって育まれてきた貴重な自然遺産です。同時に、各地に残る草原は、日本のふるさとの原風景として、次世代に引き継ぐべき大切な文化遺産でもあります。
また、草原の優れた眺望は国立・国定公園の指定要件にもなるなど、地域の重要な観光資源としての役割も果たしています。さらに、絶滅が危惧される草原性の動植物にとって、草原は国内に残された希少な生息の場となっています。
しかし、高度経済成長期以降、放牧や採草といった草原利用の衰退に伴い、農用地開発や植林への土地利用変化が進み、現在では伐採跡地や野草地を含めても、草原は国土の1%以下にまで減少しています。

全国草原シンポジウム・サミットの歩み
このような状況を受け、1995年に大分県久住町(現竹田市)で第1回全国草原シンポジウム・サミットが開催されました。その後、島根県大田市(1997年)、北海道小清水町(2000年)、山口県秋芳町(2001年)、熊本県阿蘇郡(2002年)、長野県諏訪市(2003年)、岡山県蒜山市・鳥取県江府町(2005年)と、全国各地で開催されてきました。
これらのシンポジウム・サミットでは、草原の価値や再生の意義、保全の考え方について議論が重ねられ、各地での取り組みが報告されてきました。そして、草原に対する国民の関心を高め、行政、地域住民、畜産業者、観光業者、さらには観光客や都市住民とのパートナーシップを確立することの重要性が確認されてきました。

全国草原再生ネットワークの設立
2007年11月16日、これらの活動を更に発展させるため、全国草原再生ネットワークが設立されました。当団体は、「草原の有する価値、草原再生の意義を再評価し、全国で草原再生活動を行っている、あるいは行おうとしている個人・団体の連携を通じて、全国の草原再生・利活用に寄与すること」を目的として活動しています。

ビジョンとミッション
ビジョン「人と自然が共生する日本の草原を未来へ」
私たちは、日本各地の草原を守り、その価値を次世代に継承していくことを目指しています。
全国草原再生ネットワーク 5つのミッション
- 草原の価値の再評価と普及啓発
- 草原保全・再生活動の全国的なネットワーク構築
- 地域における草原保全活動の支援
- 草原に関する調査研究と情報発信
- 持続可能な草原活用モデルの構築
活動内容
私たちは「草原の価値を守り、次世代に伝える」という理念のもと、以下の活動を展開しています。
ネットワークの構築
- 全国の草原保全団体・個人をつなぐプラットフォームの運営
- 定期的な情報交換会の開催
- メーリングリストによる情報共有
調査研究活動
- 草原の実態調査の実施
- 保全手法の研究と実践
- 草原データベースの構築と運用
情報発信
- ニュースレターの定期発行(年4回)
- ウェブサイトでの情報提供
- 全国草原シンポジウム・サミットの開催支援
保全活動支援
- 技術的なアドバイスの提供
- 保全活動のための情報提供
- 人材育成プログラムの実施

組織体制
役員構成
代表理事
高橋 佳孝
理事
井上 雅仁(島根県立三瓶自然館 サヒメル/公益財団法人 しまね自然と環境財団)
上野 弥智代(一般社団法人 日本茅葺き文化協会)
笹岡 達男(東京環境工科専門学校/学校法人 東京環境工科学園)
白川 勝信(特定非営利活動法人 ochibo)
田中 健太(筑波大学 山岳科学センター菅平高原実験所)
増井 太樹(公益財団法人 阿蘇グリーンストック)
監事
太田 陽子(認定特定非営利活動法人 緑と水の連絡会議)
事務局
髙橋 泰子(認定特定非営利活動法人 緑と水の連絡会議)
和田 穣二(認定特定非営利活動法人 緑と水の連絡会議)