草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

土塁 :どるい

土を積み上げ、牧野の境界を示したもの。高く積まれるため、放牧される牛馬が乗り越えることを防ぐ。

たたら残丘 :たたらざんきゅう

たたら製鉄の原料を採取した後に残った丘状の地形のこと。

短草型草原 :たんそうがたそうげん

強い撹乱の圧力により成立する草丈の低い草原。チガヤやトダシバなどのイネ科草本が優占種となり多様性が高くなることが多い。

炭素固定機能 :たんそこていきのう

植物が、空気中の二酸化炭素を植物体内に吸収し、その炭素分を固定する機能のこと。ただし、植物体が分解されることで、吸収された炭素は二酸化炭素として放出される。草原においては、火入れによる炭化作用により、炭素が土壌に蓄積されることで、高い炭素固定機能を持つことが、近年、明らかとなってきている。

茶草場 :ちゃくさば、ちゃぐさば

茶畑に近接する採草地のこと。茶草場で刈った草は茶畑の株元に敷くために使われる。2013年、国連食糧農業機関(FAO)は、世界的に重要な地域として「静岡の伝統的な茶草場農法」を世界重要農業遺産システム(世界農業遺産)に登録された。

茶草場農法 :ちゃぐさばのうほう

茶畑の畝間に、ススキやササを中心とした刈敷を敷き詰める農法。かつて、刈った草を肥料、土壌改良材として用いる農法は、茶農家に限らず一般的なものであったが、化学肥料の普及に伴って、その多くが行われなくなっている。静岡県では、お茶の生産において、現在も継続して行われており、茶草場農法で作られたお茶は品質がよいと言われる。静岡県の茶草場農法は、お茶畑の周辺に茶草場を設けることから、モザイク状の農村景観を生み出し、農村環境と生物多様性を高める理由ともなっている。このような伝統的で持続的な農法が認められ、平成25年(2013年)に世界農業遺産に認定された。

長草型草原 :ちょうそうがたそうげん

草丈が高い草原。撹乱頻度が低い場合に成立する。ススキやヨシなどの草丈の高いイネ科草本が優占する。

直接支払制度 :ちょくせつしはらいせいど

農業・農村が持つ、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成といった公益的機能(多面的機能)を維持するため、農業の生産条件が不利な地域にお
ける農業生産活動の継続や、困難化が指摘されている地域の共同作業に対して交付金が支払われる制度。日本では、日本型直接支払制度として、中山間地域等直接支払交付金、多面的機能支払交付金などが整備された。

低層湿原 :ていそうしつげん

河川下流域や池沼に成立する湿原で、高層湿原がミズゴケが盛り上がった高まりの上に成立するのに対する対義語として用いられる。栄養塩の供給が多い富栄養な湿原であることが多く、ヨシやスゲ、マコモなどの大型湿性草本が繁茂し、茅場として利用される。渡良瀬遊水地や琵琶湖湖岸など、火入れが行われているところも多い。

電気柵 :でんきさく

家畜や野生動物の越境を防ぐために、電気ショックを用いた柵。軸となるロープに細い電線を這わせ、そこに電流を流すことで、動物が触れた際に弱い電気ショックが起こる仕組みになっている。

動力噴霧器 :どうりょくふんむき

ポンプにより圧力をかけた水を霧状に散布する器械。一般には、農薬散布のための機械であるが、火入れの消火に用いる。大量の水を広い範囲に散布することが可能であるため、火入れの事故防止に高い効果があるが、運搬に軽4輪トラックなどが必要であるため、導入できる箇所はある程度限られている。略称「動噴(どうふん)」

飛び火 :とびひ

火事などの時に火の粉が飛び、離れた所が新たに燃え出すこと。火入れにおいては、火のついた枯れ草等が気流に乗って防火帯を超えて着地し、周辺の草原や林地などに火が広がっていくこと。

ドリーネ :どりーね

カルスト地形に成立する凹地のこと。秋吉台でのドリーネ耕作が有名で、ゴボウやサトイモなどの根菜が栽培されている。

 :だ

茅の単位の一つ。使役牛や馬が一度に背負える量程度の茅束が1駄。おおむね6束を集めて1駄となるが、その単位の換算は茅の種類や各地域、生産地における生育条件によって異なるようである。

大陸系遺存種 :たいりくけいいぞんしゅ

遺存種の項を参照。