火の生態学 :ひのせいたいがく 山火事跡や火入れ地に出来る生態系を研究する学問。特に、山火事が自然に発生しやすいアメリカで盛んな研究テーマである。火事が頻発する土地では、火事に適応した生物の特性が知られており、例えば、マツの中には火事による高温化に晒されることで球果(松ぼっくり)が開き、発芽が可能になる種が存在する。このような種は火事に依存し、火事とともに進化してきたと考えられている。このため、自然界における火事は特定の動植物に一時的に影響を与えることがあっても、その地域の生態系に対しては、絶対的な悪影響を及ぼすことはないと考えられている。
二次草原 :にじそうげん 人為的な撹乱要因によって維持されている二次的な草原のこと。日本は温暖で多雨な環境のため、草原の管理を放置した場合、ほとんどの場合すみやかに樹林へと遷移が進行する。そのため、北海道や高山帯など、ごく一部に成立している自然草原を除くほとんどの草原が二次的な草原である。
半自然草原 :はんしぜんそうげん 人為的な撹乱要因によって維持されている二次的な草原のこと。日本は温暖で多雨な環境のため、草原の管理を放置した場合、ほとんどの場合すみやかに樹林へと遷移が進行する。そのため、北海道や高山帯など、ごく一部に成立している自然草原を除くほとんどの草原が二次的な草原である。
炭素固定機能 :たんそこていきのう 植物が、空気中の二酸化炭素を植物体内に吸収し、その炭素分を固定する機能のこと。ただし、植物体が分解されることで、吸収された炭素は二酸化炭素として放出される。草原においては、火入れによる炭化作用により、炭素が土壌に蓄積されることで、高い炭素固定機能を持つことが、近年、明らかとなってきている。
低層湿原 :ていそうしつげん 河川下流域や池沼に成立する湿原で、高層湿原がミズゴケが盛り上がった高まりの上に成立するのに対する対義語として用いられる。栄養塩の供給が多い富栄養な湿原であることが多く、ヨシやスゲ、マコモなどの大型湿性草本が繁茂し、茅場として利用される。渡良瀬遊水地や琵琶湖湖岸など、火入れが行われているところも多い。
水源かん養機能 :すいげんかんようきのう 地下水をかん養する機能のこと。植生が乏しい裸地においては、雨水は地表面を流れやすいため、この機能が損なわれてい+L97るが、森林や草原では植生に補足された雨水が地下に浸透する。草原と森林では、雨水を補足する能力は森林の方が高いとされるが、森林は蒸散が活発であるため、空気中に放出する水分量が多い。そのため、地下水をかん養する能力は、草原の方が高いことが明らかとなってきている。
スコリア丘 :すこりあきゅう 火山活動による噴石がたまることで出来た丘のこと。スコリア丘が草原として利用されている例は全国に比較的多くみられ、鬼岳(長崎県)、米塚(熊本県)、神鍋山(兵庫県)、大室山(静岡県)など多数ある。
遷移 :せんい 生態学においては、時間の経過に伴って、生育・生息する生物種が移り変わっていくこと。撹乱の無い環境においては、裸地から草原、草原から樹林といったように、より発達した環境へと移り変わっていく。