草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

黒ボク土 :くろぼくど

日本で広く見られる土壌の一つで、黒く、ぼくぼくした感触が特徴の土壌。火山灰を母材とし、草原植生の影響を強く受ける土壌で、過去の植生の復元資料としても価値のある土壌である。例えば、イネ科草本を由来とする植物珪酸体が何層にも含まれていることは、人の営力(火入れ)が長期間に渡って続けられていたことを表している。英語の「Ando」は、暗土(あんど)に由来する。

茅野 :かやの

茅を生産する目的で管理された草原のこと。

カルスト地形 :かるすと

石灰岩地質の土地において、その水に溶解しやすい特性からできた、特徴的な地形のこと。代表的な地形として、窪地(ドリーネ)や鍾乳洞などがある。日本三大カルストは、秋吉台(山口県)、平尾台(福岡県)、四国カルスト(愛媛県、高知県)で、現在は、そのいずれもが草原として利用されている。

環境収容力 :かんきょうしゅうようりょく

ある場所に継続して生育・生息できる生物の量のこと。草地学においては、特に、放牧地における生物量、すなわち放牧地の生産量を把握することで、放牧地においてどの程度の家畜を飼育できるかが研究されてきた。

乾生草原 :かんせいそうげん

ススキやカリヤス、チガヤといった植物が生育する草原。日本において、乾生草原とは湿生草原の対義語として、やや乾いた環境を好む植物が生育する草原のことを指すが、世界的にみてその条件は適湿であり、乾いた環境ではない。

灌木 :かんぼく

低木に同じ。一般的に、人の背丈より低い木を指す。

希少種 :きしょうしゅ

(希少種の意味については、下記を参照。)
日本では、近世から現在にかけて、草原の開発や維持管理の放棄が一斉に進行し、このわずか半世紀程度の非常に短い期間の中で、草原の面積が著しく減少した。その結果、草原に生育・生息する草原性動植物種も、その個体数が急激に減少しており、多くが希少種となっている。

環境省HP「環境影響評価情報支援ネットワーク 環境アセスメント用語集」(http://www.env.go.jp/policy/assess/6term/index.html)によれば、存続基盤が脆弱な種または亜種で、1)生活環境が変化すれば、容易に絶滅危惧種、危急種に移行するような要素をもつもの。2)生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっているもの。3)分布域の一部で個体数の減少や、生息環境の悪化などの傾向が強いもの、あるいは今後さらに進行するおそれのあるものなど。

忌避植物 :きひしょくぶつ

毒や棘などを持つことなどから、牛馬などの哺乳類があまり食べない植物のこと。牧場や哺乳類の密度が多い地域では、これらの植物が増える。

休眠打破 :きゅうみんだは

生物の休眠状態が解かれること。草原の保全においては、種子がどのような状況下で休眠するのか、逆に種子の休眠状態を打破するための条件が何かを知ることが重要である。例えば、埋土種子の研究を進めることで、個体数が減少した植物群落再生の可能性を探ることができる。

海岸草原 :かいがんそうげん

強風や潮風、乾燥、砂の移動といった強い撹乱環境のため、海沿いに成立する草原。

改良草地 :かいりょうそうち

耕起、土壌改良、施肥、牧草の播種などを行い、生産力を高めた草地。外来のイネ科牧草はススキなどの在来草本に比べ生産力が高く、家畜の飼料としても高栄養価である、冬季も生産が可能な種類もある。一方で、生産力の維持のために、継続的な施肥や草刈りなどが必要である。また、牧草以外の植物はほとんど無く、生物は非常に単調である。

攪乱 :かくらん

生態学においては、様々な圧力により、場の環境が荒らされることをいい、このことにより遷移の段階が停滞あるいは後退することがある。日本においてはほとんどの場所で、草原はおのずと森林へと遷移が進行していくため、草原が維持されるには何らかの撹乱要因が必要となる。多くの場合、火入れや草刈りなどの人為的撹乱により維持されている。

遺存種 :いぞんしゅ

かつて広く分布した生物種が、地理条件や気候条件の変化に伴って、限られた生育・生息地のみに見られるようになってしまった種。大陸系遺存種、氷河遺存種など。例えば、ヒメユリ、オグラセンノウなどといった植物種が挙げられ、日本では希少な植物となっているが、朝鮮半島や中国大陸においても共通して見られる種であることから、今よりも冷涼で、日本が大陸と陸続きであった時代に、分布を南方へ広げた種であると考えられていrう。