草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

有畜農家 :ゆうちくのうか

家畜を所有する農家のこと。かつての日本においては、農作業に使役動物を従事させたため、ほとんどの農家が家畜を飼育していた。しかしながら、現在は農業機械や化学肥料の発展に伴い、使役動物はもっぱら用いられないため、ほとんどの農家が無畜農家である。そのため、今日では日常的にこれらの農家を区別することはない。
阿蘇地方では、草原の入会権を牧野組合が有してきたことから、牧野組合に加入する農家の分類のために使われている。

優占種 :ゆうせんしゅ

ある環境において最も生育・生息する範囲が広い、または密度が高い生物種。

有刺植物 :ゆうししょくぶつ

植物体に、棘を有する植物。草原においては家畜が忌避することから、放牧地や放牧跡地に多く見つかる。主なものとしては、ハマナス、ノイバラなど。

 :ゆい

集落における共同作業の制度。世帯単位では出来ないような労力のかかる作業を、共同で実施する仕組み。特に、茅葺き屋根の葺き替えは多大な労力と費用を必要とするため、今でも大内宿や、白川郷・五箇山の合掌造りなどで、その制度が残っている。
ほとんどの地域では、近年は結が形骸化し、冠婚葬祭などにその文化が残っているのみである。

山焼き :やまやき

主に冬から春にかけて行われる、草原に火を放って地上部を焼き払う行為。植生の遷移(森林化)を断ち切り、人為的に草原の状態に留める役割がある。これにより健やかな芽吹きを促すとも、畜産に有害なダニを駆除するとも言われている。類語の「火入れ」に比べ、山体全体が草地である場合にその山全体を焼く行為を指すことが多い。大室山焼き(静岡県)、若草山焼き(奈良県)、秋吉台の山焼き(山口県)など。

山地酪農 :やまちらくのう

野草地に乳牛を通年放牧する酪農の手法。改良草地を必要としないため、草地更新にかかる労力を必要とせず、また野草地の生物多様性も高くなる。

山口型放牧 :やまぐちがたほうぼく

山口県で昭和60年代から始められた放牧様式。耕作放棄地を放牧地として活用することで、家畜の飼育コストを下げると共に、耕作放棄地の環境・景観管理を労力をかけずに行うことを目指した手法。家畜頭数に適した耕作放棄地の面積や家畜の訓練などの研究が行われている。

屋根鋏 :やねばさみ

茅葺きの形を整えるために使われる鋏のこと。

野草地 :やそうち

牧草を育てること無く、在来の草本を利用している草地のこと。日本本来の草原であり、生産力は人工草地に比して小さいが、施肥や耕起などを必要としない。

野草堆肥 :やそうたいひ

野草で作った堆肥のこと。近年の研究で、野草堆肥には善玉菌が非常に豊富に含まれており、生産物の質向上や、連作障害の防止などに効果があることが明らかとなり、注目されつつある。

薬草 :やくそう

モーモー輪地切り :もーもーわちぎり

輪地(防火帯)を人の手で作る膨大な労力を軽減するために考案された手法で、輪地にする部分に牛を放ち草を食べさせることで可燃物を除去する。

無畜農家 :むちくのうか

家畜を所有しない農家のこと。

迎え火 :むかえび

火入れ時に、燃えていってはいけない方向に火が進んでいる際、逆の方向から点火する火のこと。迎え火を打つ、などという。本火が入ったあとは、火消し棒やジェットシューターでの消火はできないため、火と火をぶつけあうことで消火する手法がとられる。火は燃料がないと燃え進むことはないので、火がぶつかりあうことにより消火ができる。
経験に基づき、ある程度計画的に点火される迎え火もあれば、延焼を拡大させないため緊急の対処として点火される迎え火もある。いずれにせよ、地形や風向きによって火のまわり方は異なるため、本火、迎え火の点火には、その地における多くの火入れの経験に基づいた知識や技術が必要である。

 :まぐさ

牛馬などの家畜の飼料とする草。

本火 :ほんび

尾根側から谷に向かって下るように少しずつ火を入れていった後、斜面下方から火をつけて一気に斜面を焼き上げる際の強い火のこと。火消し棒などでは消火できないほど強い火であり、最後は火と火をぶつけあうことで消火する。

盆花 :ぼんばな

盂蘭盆(うらぼん)に山野から取ってきて盆棚に飾る花。地方によって差異はあるが、ミソハギ、キキョウ、オミナエシなどが主である。

盆刈り :ぼんがり

夏のお盆に向けて、草を刈ること。お盆を前に、集落の道をきれいに整える意味がある。草原管理の面では、盆刈りにあたる7月~8月上旬にかけて草を刈ることが、大型草本の繁茂を抑える効果が最も高いことが分かっている。

ボランティア :ぼらんてぃあ

一般的に、自主的に無償で社会活動などに参加し、奉仕活動をする人のこと。草原再生の活動においては、防火帯づくりや火入れ作業に従事する人員の不足や高齢化が進んでおり、ボランティアの重要性が各地で増してきている。阿蘇では例年、延べ2,000人以上のボランティアが草原の維持管理活動に参加している。また、草原の公益的機能について理解を得るためには、草原でのガイド活動なども重要であり、このような活動にボランティアが活躍している地域も多い。

ホトラ山 :ほとらやま

滋賀県北西部の言葉で、ホトラを採取する山のこと。朽木村史などにその出典を見ることができるが、今では当地域においてホトラ山はほとんど見られなくなっている。