草原用語

草原関連の用語を収集・整理し、検索できるようにしています。

ハギ山 :はぎやま

東北地方、特に奥羽山地や北上山地などで、飼料採取のために維持される、ハギが優占する草山のこと。火入れによる維持が必要である。

バイオマスエネルギー :ばいおますえねるぎー

草、木などの生物由来のエネルギーのことで、持続可能エネルギーのひとつ。主に、道路維持管理に伴って排出される刈草や、間伐材や端材といった未利用材を燃料源とする。エネルギーは、これらの燃料を直接燃焼させることによって得ることができるほか、酵素を用いた分解によりエタノールなどの液体燃料を生成することも可能である。

 :は

茅の単位の一つ。一抱えで集めることのできる量を一把とする。

野分け :のわけ

草資源の利用にあたり、草原の面積を配分すること。

野焼き :のやき

主に冬から春にかけて行われる、草原に火を放って地上部を焼き払う行為。植生の遷移(森林化)を断ち切り、人為的に草原の状態に留める役割がある。これにより健やかな芽吹きを促すとも、畜産に有害なダニを駆除するとも言われている。

ニュウ :にゅう

刈り取った草を、保管を目的として小高く積み上げたもの。主に飛騨地方の方言。

日本在来馬 :にほんざいらいば

海外の馬とほとんど交雑することなく残ってきた日本の伝統的な馬種のこと。北海道和種(道産子)、木曽馬、御崎馬(岬馬)、対州馬、野間馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬の8種が現存している。野草などの粗食に耐え、傾斜地も苦にしないことから、半自然草地での放牧に適している。現在の頭数は8種合わせても2000頭台といわれ、各地で保存活動が行われている。

二次草原 :にじそうげん

人為的な撹乱要因によって維持されている二次的な草原のこと。日本は温暖で多雨な環境のため、草原の管理を放置した場合、ほとんどの場合すみやかに樹林へと遷移が進行する。そのため、北海道や高山帯など、ごく一部に成立している自然草原を除くほとんどの草原が二次的な草原である。

ニゴ :にご

牛馬の飼料にするため、採草地で様々な野草を刈り、積んで作った干し草山。主に木曽地方の方言。

難燃性作業服 :なんねんせいさぎょうふく

火入れの際に着用する、火がつきにくい素材でできた作業服。近年、化学繊維でできた燃えやすい素材の衣類が増えたため、火入れ作業においては衣類の選び方に注意が必要である。

夏山冬里 :なつやまふゆさと

牛の飼い方の一つ。夏は山に放牧し、冬は牛舎などの屋内で飼うスタイルのこと。

土塁 :どるい

土を積み上げ、牧野の境界を示したもの。高く積まれるため、放牧される牛馬が乗り越えることを防ぐ。

ドリーネ :どりーね

カルスト地形に成立する凹地のこと。秋吉台でのドリーネ耕作が有名で、ゴボウやサトイモなどの根菜が栽培されている。

飛び火 :とびひ

火事などの時に火の粉が飛び、離れた所が新たに燃え出すこと。火入れにおいては、火のついた枯れ草等が気流に乗って防火帯を超えて着地し、周辺の草原や林地などに火が広がっていくこと。

動力噴霧器 :どうりょくふんむき

ポンプにより圧力をかけた水を霧状に散布する器械。一般には、農薬散布のための機械であるが、火入れの消火に用いる。大量の水を広い範囲に散布することが可能であるため、火入れの事故防止に高い効果があるが、運搬に軽4輪トラックなどが必要であるため、導入できる箇所はある程度限られている。略称「動噴(どうふん)」

電気柵 :でんきさく

家畜や野生動物の越境を防ぐために、電気ショックを用いた柵。軸となるロープに細い電線を這わせ、そこに電流を流すことで、動物が触れた際に弱い電気ショックが起こる仕組みになっている。

低層湿原 :ていそうしつげん

河川下流域や池沼に成立する湿原で、高層湿原がミズゴケが盛り上がった高まりの上に成立するのに対する対義語として用いられる。栄養塩の供給が多い富栄養な湿原であることが多く、ヨシやスゲ、マコモなどの大型湿性草本が繁茂し、茅場として利用される。渡良瀬遊水地や琵琶湖湖岸など、火入れが行われているところも多い。

直接支払制度 :ちょくせつしはらいせいど

農業・農村が持つ、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成といった公益的機能(多面的機能)を維持するため、農業の生産条件が不利な地域にお
ける農業生産活動の継続や、困難化が指摘されている地域の共同作業に対して交付金が支払われる制度。日本では、日本型直接支払制度として、中山間地域等直接支払交付金、多面的機能支払交付金などが整備された。

長草型草原 :ちょうそうがたそうげん

草丈が高い草原。撹乱頻度が低い場合に成立する。ススキやヨシなどの草丈の高いイネ科草本が優占する。

茶草場農法 :ちゃぐさばのうほう

茶畑の畝間に、ススキやササを中心とした刈敷を敷き詰める農法。かつて、刈った草を肥料、土壌改良材として用いる農法は、茶農家に限らず一般的なものであったが、化学肥料の普及に伴って、その多くが行われなくなっている。静岡県では、お茶の生産において、現在も継続して行われており、茶草場農法で作られたお茶は品質がよいと言われる。静岡県の茶草場農法は、お茶畑の周辺に茶草場を設けることから、モザイク状の農村景観を生み出し、農村環境と生物多様性を高める理由ともなっている。このような伝統的で持続的な農法が認められ、平成25年(2013年)に世界農業遺産に認定された。